3D プリント コンクリート: 233 平米の建物を 20 時間で建設、スペースコロニーにも応用可

投稿日: 2017年5月20日 | 投稿者: ★ちょろQコレクション★

JEFF LINK

数分もネットをサーフィンすれば、3D プリントでありとあらゆるものを作成できることが分かるだろう。自動車の部品やプロトタイプ、義耳、幹細胞、潜水艦用の銃、眼鏡。さらには栄養条件を満たしたデザートすらある。

それなら、より速度と効率を向上させて、同じ手法を実際の土木建造物 (戸建て住宅や商業ビル、より大規模なコミュニティなど) に応用できないだろうか?

20 時間で建つ家
これこそベロック・コシュネヴィス氏が、コンター クラフティング (CC) の開発時に思い描いたことだ。コンター クラフティングは 3D コンクリート押出加工プリンターで、233 平米の住宅を約 20 時間で建設できる。

3D_Printing_Concrete_Contour_Crafting_Curve_House

コシュネヴィス氏は南カリフォルニア大学インダストリアル/システム エンジニアリング学部の教授で、高速自動製作技術センター (CRAFT: Center for Rapid Automated Fabrication Technology) のセンター長を務めている。コシュネヴィス氏による 3D プリント コンクリートの高速な製造プロセスは、アメリカ国立科学財団とアメリカ海軍研究局からの連邦補助金により開発が進められている。これは時間と建設コストの節約、建設現場での怪我の低減を実現し、建設業界に大革命を起こす可能性を秘めている。

CC を使用して壁が建造される様子は、まるで焼き菓子にアイシングを塗っているように見える。CAM アプリケーションが誘導し、ロボットでコントロールされたノズルが速乾性のセメントを押し出して、層状に重ねられる。

このシステムが優れているのは、ノズルに取り付けられたコテのような 2 枚の羽根がコンクリートを塗り広げ、スムーズに成形するところ。3D プリントにコテを使用するアイデアは、1994 年、カリフォルニア州ノースリッジで起こった地震の後、コシュネヴィス氏が自宅でリビングの亀裂を修繕していたときに閃いたものだ。

3D_Printing_Concrete_Contour_Crafting

このイノベーションが、スピードと表面品質を大幅に向上させる。そして、3D プリントの規模を拡大して建築分野へ応用するアイデアをもたらした。「その当時は、3D プリントをビルに応用することなど考えていませんでした」と、コシュネヴィス氏。「私は単に、もっと早く作業したかったんです。その処理スピードが他の 3D プリントの手法より桁違いに高速になり得ると気付いたとき、大きな物の製造が実用的なものとなったのです」。

当時彼が作成していた「大きな物」とは船用のプロペラや潜水艦用のモールドなどだったが、2004 年に初めてコンター クラフティングを使用した壁が作成された。計画どおりに進めば、コンター クラフティングによる初の住宅が、南カリフォルニア大学のキャンパスに2016 年夏までに建設予定だ。

その仕組み
CC 用の 3D プリンターは、特大の木挽き台を思わせる高さ 6 mの精巧な構台にマウントされているが、これはさらに大型のシステムの一部でしかない。マシンは徐々にその高さを上げながら、コンクリートをライン状に層状に重ね、家を「プリント」するのだ。このシステムは、極めて順応性に優れたものになっている。より複雑な構成の場合は、この構台を線路状のレールの上で前後に水平移動させることで、数棟、あるいは近隣一帯を一緒に建設することもできる。電気系統、水道設備、空調用の配管は全て中空壁構造に組み込まれる。仕上げ、タイル張り、屋内工事、鎖状に広がる金属製の天井も構造内に含まれる。このプロセス全体が CC のウェブサイトにあるビデオで説明されている。

3D_Printing_Concrete_Nozzle_Close

3D プリントで建設業界の限界に挑戦しているのは、コシュネヴィス氏だけではない。MX3D は 2014 年夏、多軸ロボットを使用した 3D プリント製歩道橋の計画を発表しているし、Minibuilders プロジェクト は、一群のロボットを用いて大理石と高分子複合材料からヒューマンスケールの構造物の建造が可能であることを示した。

だがコシュネヴィス氏のプロジェクトは、その潜在的用途とスケール、展望の規模において希有な存在だ。住宅は手作業で構築される数少ないもののひとつとして残存している、とコシュネヴィス氏は話す。靴や洋服、家電製品は、その製造が自動化されるようになった。3D プリント住宅が建設業のプロの職を奪うと批判する人たち (この脅威はコシュネヴィス氏も完全に否定してはいないが) をよそに、コシュネヴィスは、次に大規模自動化の対象となるのは住宅だと考えている。

低所得と応急仮設住宅
コシュネヴィス氏は1974 年にイランから移住し、航空宇宙からロボット工学まで、さまざまな分野で 70 以上の特許を保有。 CC は商業建築、低所得者向け住宅や応用仮設住宅、自律型スペースコロニー建設に応用できると考えている。多作な発明者で、NASA 革新先進構想 (NASA Innovative Advanced Concepts) のフェローでもあるコシュネヴィス氏は、月の表土を焼結し、宇宙船の着陸飛行場を構築する計画も立案している。

地球上では、CC は単体あるいは複数の住宅の建設に使用できる。複数の住宅の場合は、それぞれ異なるデザインの住宅を一度に建設できる。プロトタイプの圧力耐性は 10,000 psiと極めて強度に優れており (これは典型的な住居の 3 倍)、これは地震やハリケーンの被害を受けやすい地域には特に適している。

3D_Printing_Concrete_Corregated

また CC の作業労力、資金調達、材料コストは非常に低いため、貧困にあえぐ開発途上国で手頃な住宅をプリント製造するのに幅広く応用可能だと氏は話す。「貧困地域やスラムにも経済的に利用可能なものにできれば、そうした地域のニーズに応えられます」。

コンクリートの大規模自動化が寒々しい均質なデザインにつながると憂慮する人もいるが、それは逆だとコシュネヴィス氏は話す。CC は、氏の故郷であるイランに見られる極めて複雑な日干しレンガ構造のように、美しくエレガントな幾何学的構造を実現する。

大量の炭素排出につながる材料の長距離搬送と長期にわたる搬入で悪名高い建設業界だが、この建物がプリントされる驚異的なスピードが、無駄の多い実務に強烈な影響を与えるかもしれない。カリフォルニア州オーハイで行われた 2012 年 2 月の TEDx トークで、コシュネヴィス氏は米国内での建設事故で年間 400,000 人が負傷し、6,000 人が死亡していることを引き合いに出し、このプロセスで現場の作業員数を制限することで、多くの命を救うことさえ可能だと語った。

資金提供元を見つけ出し、規制当局の認可を得るのは難しいことだと認めつつも、このテクノロジーは費用効率、スピード、建築上の柔軟性を提供することから、投資に値すると氏は考えている。「ただ現実問題として、実現には時間がかかるでしょう」と、コシュネヴィス氏。「建設は非常に保守的な業種であり、またそれは当然のことでもあります。上手く機能しているものを下手にいじるな、ということです。現在実践されている手法は、最も効率が優れたものではないし生産的なものでもありませんが、新しい枠組みへの移行は破壊的な変化をもたらし、リスクを生じがちです」。

だが、コシュネヴィス氏が破壊的な変化を危惧しているわけではない。とりわけ、それが経済成長と可動性を引き起こすものであれば。温かい拍手喝采に包まれつつ、コシュネヴィス氏は自身の TEDx トークを次のように結んだ。「1900 年、アメリカ人の 62% は農民でした。現在、その割合は 1.5%未満です。でも、世界は終わってはいません。賢明な進歩とテクノロジーの活用により、良好な経済は今後も存在し続けるのです」。

【本記事は2015年11月に作成されたものです】

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