★安保法案、自民・公明両党の賛成多数で成立、賛成148票
集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法案は19日未明の参院本会議で採決が行われ、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。賛成票は148、反対票は90だった。
大沼さんが津田に拉致られるところ
★安保法案、自民・公明両党の賛成多数で成立、賛成148票
集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法案は19日未明の参院本会議で採決が行われ、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。賛成票は148、反対票は90だった。
大沼さんが津田に拉致られるところ
安倍晋三首相が6日放送の読売テレビの番組「そこまで言って委員会」で語った主な内容は次の通り。番組は首相が4日に大阪を訪問した際に収録された。
--国会開会中だが、(大阪での出演は)まずくはないか
首相「国民にしっかりと説明せよと言われていますので、首相の役目として、こういう番組を通じて、国民のみなさまに、わかりやすく説明をしたいと思います」
--安全保障関連法案の話をする。反対意見では今回の法案ができると、世界中で戦闘行為が実際にできそうなイメージを持っている人が多いが、そんなことは一行も書いていない。なぜここまで誤解が広がっていると思うか
首相「私たちの説明の仕方にも問題が(あると)、反省をして、こういう機会を通じて、まさに国民の命を守るために必要なんだということを理解をしていただきたいなと思う」
--自ら模型で説明をして、少しずつわかってもらっているという実感はあるか
首相「そのまま説明をするより、たとえ話で説明した方がいいですが、たとえ話と実際の法案を中身は、もちろん違う。なんでこんなたとえ話なんかするんだという批判もあるが、しかし、たとえ話をすると、それでわかりやすくなった、よくわかったという方もおられるのも事実」
--安保法案が話題になるほど、支持率が下がるという現実があったが
首相「安全保障にかかわる政策を進める場合は、どの内閣も支持率は落ちる。例えば、安保条約を改定した岸(信介)内閣は、それと引き換えに退陣しているし、宮沢(喜一)首相の時のPKO(国連平和維持活動協力)法もそうですから。それは、もう覚悟の上ではありますけど」
--それは、安保法案が成立したら退陣するという意味ではないか
首相「まったく考えていない」
--かなりつっこんだ質問ある。覚悟は
首相「この番組に出る以上(笑)」
--15の質問。安保法案は戦争法案ではないといえるか
首相「もちろんイエス。戦争法案であれば、私も反対してます。多くの国々が支持してますから、戦争法案ではないことは明らか」
--70年談話はあれでよかったか
首相「私はよかったと思ってます。多くの方々に納得していただけるものを出そうと考えて作成した」
--本当は「侵略」と(いう言葉は談話に)入れたくはなかったのでは
首相「あの、よく読んで頂ければと思います」
--中国の抗日戦争勝利70年式典に行きたかったか
首相「和解の要素が入っていなければ、行けませんということを、先方には伝えていたが、これは、日本だけでなく、アメリカや多くの国々はそう考えていたんだろうと思います」
--事前に行くかもしれないという話が出回ったこともあった。そんな話はあったのか
首相「式典自体が、和解の要素がしっかり入っていて、反日的なものでなければ、それはわれわれも考えました」
--ふたを開けてみると、かなり反日的な軍事パレードだったが
首相「抗日戦勝利、反ファシズムの式典でしたから、名前からして、そういうイメージを世界に発信するものであると」
--韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領ともっと仲良くしたいか
首相「みなさんが思うより、私は、親しいんだと思いますけどね。大統領に就任される前に、何度も、面識あった、食事をしたこともあった。当然隣国ですから仲良くしたいと思います」
--日本には偏向しているメディアがあると思うか
首相「この番組に出ている、コメンテーターのような方が出れるような番組が、増えればいいんではないかという人もいますね」
--週刊誌の吐血報道は誤りか
首相「「ごほん」(手で口を覆って咳き込み、その手を見せるしぐさをする)
--ここでギャグ入れられても
首相「高杉晋作じゃありませんから」
-妻(昭恵夫人)は(ミュージシャンのの)布袋寅泰の大ファンか
首相「こんな質問するのか、という質問ですね。イエスですね」
--五輪エンブレム問題の佐野研二郎氏は残念か
首相「結果が、ああいう結果になったのは残念ですけどね。みんなで祝福する。ざこばさんも祝福するオリンピックにしたいと思いますね」
--2020年の東京五輪まで首相を続けたいか
首相「まずは、来るべき総裁選挙に勝つことですから。それで(総裁任期は)3年ですから」
--原発は、将来的にはゼロにしたいか
首相「:安全が第一。しかし、このままでは電気料金が上がっていきますから、その中で、厳しい基準に適格だと判断されたものについては、動かしていきたい。ただ、比率はできる限り下げていきたい」
--日露首脳会談は年内に実現したいか
首相「適切なかたちで、適切な時期に実現したいと」
--実現したいというところはイエスか
首相「イエス」
--年内には(実現したいということか)
首相「それは、双方の状況もありますし、国際情勢もありますし」
--中国バブル崩壊に危機を感じるか
首相「何とかコントロールできるんだろうと思いますね。G20に麻生(太郎財務相)さんが出席をしますから、せっかくのG20ですから、中国経済について、率直に議論したらいいんだろうと思います」
--何とかコントロールできるのか
首相「今まで、そういう議論をしたこと、G20でありませんから」
--首相が何とかコントロールできると発言した
首相「経済部の長谷川(幸洋)さんどう思いますか」
長谷川氏「私は実は…」
--長谷川さんの意見は後にすることにして。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が妥結しても日本は損をしないか
首相「損をするならば、TPPに参加しませんから、損する妥結はしない。これははっきりしている」
--アベノミクスは成功しているか
首相「成功しつつある。しつつ」
--2017(平成29)年の消費増税、8%から10%(への再増税)は見直さないか
首相「これは、イエス。リーマンショックのようなものがない限りは」
--新聞によっては朝、見るのがイヤだという新聞はあるか
首相「一応全部見ます。長谷川さんの会社の新聞もね」
--「けっ」という感じか
首相「驚くことがあります」
--何に最近驚いたか
首相「最近でいうと驚いたのは、自衛隊は核弾道を輸送という1面記事が出た。びっくりした。あり得ない」
--中谷元・防衛相が、かなりあいまいな答弁したからでは
首相「あいまいではなくて、純粋に法理的にはどうかということ。これは、例えば、他の周辺事態(安全)確保法だって、他の法律だって、そんなことは禁止されてませんから。それは、そうだと聞かれたら、そうだと答えるんですが。
ですけど、アメリカが日本に核弾道を運んでくれということは、120%、ケビン・メアさん、ないですよね? もちろん、こちらの能力もない。机上の空論なんです。机上の空論に、こちらも机上の空論で答えざるをえない。それを、まるでやるかのごとくというのは、びっくりする」
--なぜ吐血報道が出たのか
首相「風邪をひいていたのは事実。それは、最近の話。吐血報道が出たときは、本当に元気でしたし、今でももちろん元気なんですが。今の時代、高杉晋作みたいに吐血って。もう、その後ゴルフとかしてますから」
--日米韓の首脳会談で、安倍首相が韓国語で話かけていたことがあった
首相「同時通訳だったから、イヤホンを入れてたんで、聞こえにくかったのか、私の発音が、あれだったのか」
--人から見えていないところで、朴大統領もニコニコしているというのは本当か
首相「基本的には、いろんな場面で、お目にかかるが、大変雰囲気は温かい雰囲気ですよ」
--日中韓の首脳会談が行われる見通しと報道されたのは
首相「すでに、日中韓の外相会合は行っている。その上で、首脳会談を行おうということについては、ある程度すり合わせはできている。今、明確になったということですね」
--会談では何を話すのか
首相「話すことはたくさんありますね」
--竹島を返せとかは言えないだろう
首相「もちろん、隣国ですから。対立する問題はありますけど。対立問題があるからといって、会わないというのは、間違い。話すべきことは、経済、人的交流、外交、国際政治、国際的な課題はたくさんある」
--裏交渉は、日韓でも相当やっているのでは
首相「いろいろ、努力はね」
--中韓両国だけでは決められるはずはない。水面下で『中国に行ったらこんな話はするが』という話はしているか
首相「そういうことについて、なかなか、ここでいきなり私がそうですよというわけにはいけませんけども」
--70年談話について。全文の最終的な文言はいつ確定したか
首相「21世紀構想懇談会で提言書をまとめていただいて、これをベースとして、ただちに作成作業に入って、相当推敲(すいこう)に時間がかかったが、8月に入る前に、かなり骨格は出来上がっていた」
--作成は自身でか
首相「これは、もちろんいろんな方たちとともに、それぞれ知恵を絞りながら、作成した」
--朝日新聞は批判していた。記事は読んだか
首相「こう書くしかないんだろうなと」
--15日の朝日の社説はこんな談話ならいらなかったって書いてあった。
首相「主語がないとおっしゃっても、閣議決定してるんですから。安倍内閣として閣議決定しているんですから、安倍内閣として出した文章なんですよ。ですから、まさに、(談話の主語は)基本的にわれわれ内閣であることは間違いないこと」
--ホワイトハウスの発表はすごくよかったと。談話は高く評価された
首相「インドネシア、フィリピン、あるいはベトナムから評価されている」
--結果的に内閣支持率が回復傾向になったことについては
首相「正直言ってほっとした。いわゆる談話によって支持率が上がるとはないと思っていた。村山談話においては、相当激しい議論があったのは事実。そうすると、なかなか終止符を打てない。私と言うよりも、内閣全体として、国民を全体を見ながら、だいたいの方々がだいたい、こういうところだろうと納得できるものにしたいという、談話にした。21世紀懇談会においても、日本の歴史だけをみていたんでは、見方としては誤りであって、世界がどういう世界だったか。100年前どうだったか。特定の時点だけをみても、わからない。歴史はつながっているから。どこで日本が敗戦に至る道を歩んでしまったのか、アジアの人々に、多大の苦痛を与える結果になってしまったのか。村山談話は、国策を誤ったという抽象的な言い方しかしていない。抽象的な言い方であっては、教訓にはならない。私たちはどこで、道を誤ったのか、何を学んでいるんだと、しっかりと書くべきではないか、そうしないと未来につながらない」
--80年談話は必要か
首相「私たちとしては、歴史的に終止符を打つものにしたいという気持ちで談話を書いたが、それは、10年後のみなさんが…」
--10年後も首相をやっているかも
首相「ありえないですけども、その時の国民のみなさんが、決めることだろうと思います」
--消費税を10%に引き上げるのか。5%から8%にあげるのは、大変だった
首相「消費税をあげることが目的でない。社会保障制度を次の世代に引き渡していくために、財政の健全化をはかっていく、国の信任を確保する、国民を豊かにしていくことですから、逆行するようであれば、当然止めるのは当たり前なんだろうと、前回もそういう判断をした」
--憲法改正は悲願か
首相「イエス」
--来年は衆参ダブル選挙の可能性はあるか
首相「解散は全く考えていない」
--衆院解散を全く考えてないというのは、(首相は)嘘ついてもいい(といわれている)
首相「全く考えていない」
--橋下徹大阪市長は近い将来、国政進出すると思うか
首相「可能性はあるんじゃないでしょうかね」
--大阪に来て、今晩(番組が収録された4日夜)に会うのではないかという噂がある
首相「東京に戻りますから、このあと」
--今回の総裁選で、石破茂地方創生大臣には出てほしかったか
首相「まだ、8日告示ですから、まだ、何も」
--小泉進次郎議員には将来、首相になってほしいか
首相「イエスですね。そういう資質はあると思います」
--民主党の辻元清美議員はイライラの総合商社だと思うか
首相「これは、ノーですね。非常に有意義な議論を…」
--苦手なのか
首相「どなたも、てごわいなと思っています」
--日本は、もっともっと女性を活用すべきだと思うか
首相「イエス。女性の意見が入った方が、いい結論を出せるんじゃないかと。安倍家においてもそうですけども」
--公明党とはこれからも仲良くやっていきたい。
首相「イエスですね」
--(読売テレビ番組の)「そこまで言って委員会」は、東京でも放送するべきだと思うか
首相「関西でなければみれないというのはブランドなんですかね。東京でもみてみたいという人は多いですよ」
--関東地方で放送されていない番組に出ても大して(影響はない)と、ちょっと思わないか
首相「私の地元は山口県ですから、影響力は大きい」
--拉致問題は自分の政権で解決したいか
首相「イエス。大変難しいですけど、何とか解決したいと思っています」
--英語には自信があるか
首相「ノー。ノーの発音でわかったかもしれませんが」
--米議会での演説、米国民の琴線に触れた
首相「:ありがとうございます」
--日本は、アメリカのポチではないと思うか
首相「イエス」
--米軍普天間飛行場の移設先は、辺野古以外にないか
首相「工事を1カ月間中断しながら、(沖縄県との)交渉を誠実しているが、危険な状況にある普天間を固定化してはならないということ。それと、普天間に移設するというのは、そのまま機能を全部持っていくのではない。意外と知られていない。普天間飛行場は3つの大きな機能がある。オスプレイ、緊急時の飛行機の受け入れ、空中給油。空中給油は全部山口県の岩国に移っている。緊急時の飛行機の受け入れ、これは、本土でいけた。残っているのはオスプレイだけ。普天間では、各戸に対する防音の設備をしなければならない。対象は約1万軒。それが辺野古に移ればゼロになる。民家から遠く離れている。そういう意味においては、面積も3分の1になる。負担の減少は間違いない。ただ残念ながら、まだ了解を得るということには、なっていないので、われわれも誠実によく説明していきたい」
--自分はお国のために死ねると思うか
首相「こういうことを、簡単に口にすると、果たして本当かと。でも、われわれは政治家になった以上、とにかく国のために自分の人生をささげるという気持ちで仕事をしている」
--やっぱりこの番組(の質問)はきついか
首相「きつい質問ありましたね」
--辻元議員に関する質問で、さきほどの答えは嫌みではないか
首相「まだ、国会中ですから」
--「あほなこと聞きやがって、このカス」と思うことはあるか
首相「ないです。こういう見方があるんだと」
--つぶやきの声が大きくて、ヤジだといわれていることについて
首相「反省してます。(口元を示しながら)ここの言葉が、思わず言葉に(笑)」
【拉致問題】
--拉致問題は(北朝鮮が再調査を約束してから)1年がたっても進展していないことについて
首相「基本形は、北朝鮮側に、この問題を解決しなければ、北朝鮮の未来を描くことができないと思わせることが大切ですから。制裁をかけつつ、圧力をかけるけども、話し合いをしなければ、解決をしませんから。今は進んではいないが、話し合いの糸口はつかんでおり、これを離すべきではないと思っているので、誠実な対応をこれからも強く求めていきたい」
--飯島(勲・内閣官房参与)さんがモンゴルを訪問し、誰かと会ったかとか聞こえてきているが
首相「今の段階では、はっきりとした動きはありませんが、何とか安倍政権の間に完全解決したい」
--沖縄県の翁長雄志知事が普天間移設に反対の立場だ。政府は前に進める覚悟はあるか
首相「今、工事は中断しているが、今の普天間飛行場の危機を除去するための移転先は、辺野古以外は残念ながら、ないというのがわれわれの結論だ。しかし、その上で、沖縄の工事を中断している期間を利用して、お互いに冷静に議論をしたいなと思っている。同時に米軍基地の関係については、嘉手納以南の例えば、西普天間住宅地は返還されましたから、大きな返還は行われている。そういうことも含めて十分な説明が足りないかなと。そういう思いもある」
--中国は繰り返し沖縄を“取り返す”といっている。機関誌で。そういうことを正直に沖縄県民に言って、説得してはどうか
首相「民主党政権でも、最低でも県外と言って、選挙して、やっぱり辺野古しかないという結論になった。それで、鳩山(由紀夫元首相)さんも在沖米軍の存在、抑止力というのは大切なんだなと学んだとおっしゃった。本当はもっとはやく学んでいただきたかった。しかし、沖縄の基地負担が過重であるというのは事実であり、この現状を変えたいと思っている。ただ、普天間飛行場の移設をしなければいけない、その移設先については、辺野古しかないというのがわれわれの結論だ。沖縄の要望にどのようなかたちでこたえられるかということについても、考えなければいけない。しっかり説明をしていきたい」
--維新の党の(分裂の)動きは耳に入っていたのか
首相「そうではなかった。ただ、党内でずいぶん考え方が違うのかなと感じていた。平和安全法制に対しての考え方が違うなという感じはありました」
--安保法制の修正協議はまとまらないようすだ。維新には採決時に出席し、反対してほしいという気持ちではないか
首相「今、まさに議論中ですから。修正も含めて、国会にまかせている」
--衆議院での採決のときのように、強行採決だと言って採決自体に望まないというのは、民主主義国家としてどうか
首相「もちろん、しっかりと議論するが、最後はどこかで多数決で決めていく。国民の公正な選挙によって選ばれた議員が、多数決で決めていかなければ、前に進めませんから。ですからどこかで、決めなければならない。その時に、賛否を明らかにすることということは国会議員の責任です」
--維新にはどんな態度をとってほしかったか
首相「維新は責任野党であるということを明確にしておられた。将来政権を担いうる政党として、国民にわかりやすく政治を行っていくと言っておられたんで、そういう役割を果していただきたいと思います」
--橋下市長も辻元氏も、高市早苗(総務相)さんも一応関西。関西人をどう思うか
首相「人によりますけどね。みなさん、個性が強い」
--マスコット「左翼(ひだり・つばさ)君」を知っているか
首相「あの翼君でしょ。(背中の)つばさのバランスがくずれていますね」(握手し、終了)
クルーグマン教授・独白「日本経済は、世界の良きモデルになる」【1】
ノーベル賞経済学者が安倍総理に直訴
PRESIDENT 2014年12月15日号
その発言に各国の政府関係者から市場関係者までが注目する「世界のオピニオンリーダー」。アベノミクス、金融緩和、消費税再増税……プレジデントの独占取材にクルーグマン氏は自宅で答えた。
私は昨年10月31日付のニューヨーク・タイムズに“Apologizing To Japan”(日本への謝罪)というコラムを書いた。主旨はこうだ。
日本はバブル崩壊後、1990年代の初頭から20年間スランプを経験した。いわゆる「失われた20年」と呼ばれる時期だ。バブルが崩壊して10年近 く経った98年、私は「復活だあっ!」という論文で日本経済の問題を分析した。そこで「流動性の罠」の説明をした。それは中央銀行が金利をゼロまで下げて も金融政策としては十分ではないという状態だが、FRB(米連邦準備制度理事会)前議長のベン・バーナンキも日本政府に果敢な決断をするように2000年 に論文を発表した。私もバーナンキも日本政府の政策が不十分であると痛烈に批判したが、実は西洋と比較するとまだましであると言いたかった。ある意味では 我々には日本を痛烈に批判する資格はなかったかもしれない。ということで、私は「日本に謝罪する」というコラムを書いた。要するに自分の国や欧州のことを 棚に上げて日本を批判したことに対する謝罪ということだ。
日本で話題になっているこのコラムは、欧米が日本の失策から学ぶべきことを学ばずに日本よりもひどい失策をしたことに対する反省と皮肉を込めて書い た。日本はかつて「反面教師」であったが、西洋が大失態をしたので、それどころかロール・モデルに見える。アベノミクスが奏功すれば、世界中の国は日本こ そがまさにロール・モデルになることを認めざるをえないだろう。
私はアベノミクスを支持してきた。それだけに、安倍晋三首相が2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを先送りする方針を固めた というニュースを耳にして、ほっと胸をなでおろした。日本は消費税増税の第二弾を実行するかどうか、与党内でも真っ二つに分かれている。私は昨年11月6 日、首相官邸で安倍首相に直接進言する機会を与えられ、今はその時期ではないと、延期するように伝えていたからだ。
私は日本経済に期待してやまない。日本の行方を「金融緩和」「円安」「女性活用」の3点から展望しよう。
黒田東彦日銀総裁が、サプライズ追加緩和を発表したが、それにはもろ手を挙げて大歓迎である。称賛すべきことだ。今まで日銀や日本政府が実行してき たことは、消費税増税を除いてはすべて歓迎である。実際日銀が実行してきたことは別に斬新なことではなく、何年も前から私を含め、欧米の専門家たちが実行 するように促してきたことである。
まず、なぜ黒田氏の追加緩和の決断が正しいか説明しよう。日本がデフレ状態から完全に脱していないことは明らかだが、その状態から脱するには「脱出 速度」に達さないといけない。脱出速度というのは元々重力圏からの脱出速度という意味だが、私は比喩的に使っている。今優先すべきことは、脱デフレのため になんでもやることであるが、消費税増税以外の政策はその点で正しい。
消費税増税第一弾の影響はすでに出ており、予想通り消費に陰りが見えている。どれほど追加緩和を行ったとしても消費税増税はそれに真っ向から反する 策で、それは航空母艦から離陸しようとしている戦闘機がブレーキをかけている状態である。戦闘機が空母から落ちないように射出しなければならないときにブ レーキをかけたのでは、離陸に失敗するのは目に見えている。今の状態では溝にはまって底から体を押し上げて脱出しようとしているときに、力が足りなくなっ てまた底にたたきつけられる懸念があるということだ。アクセルを十分に踏んでいない状態である。サプライズ追加緩和でアクセルをまた踏んだが、消費税増税 第二弾を実施すれば、その推進力は相殺されてしまう。消費税増税の財政上の理由があったとしても、まず戦闘機が空母から離陸して飛行状態になるまで待つべ きである。だから私は安倍首相に増税を延期するようにと自分の意見を述べた。
今の日本は33年、金本位制が崩壊したときのアメリカにもっとも近いだろう。そのときでさえ、4年後に経済はまた景気後退に陥った。日本は30年代 に同じようなことをしているが、日中戦争で戦わないといけなかったので、大規模の財政支出で助けられた。だから、今日本がやろうとしていることは誰も試し たことがないことである。奏功すれば日本が世界のモデルになると言いたい。
「臆病の罠」に陥っていないか
黒田氏は実現すべきインフレ率を2%にしているが、実際に2%に達するには目標を4%にしなければならない。この4%という数字は以前から私が繰り 返し主張してきたが、なかなか受け入れてもらえなくて残念である。ここで「timidity trap」(「臆病の罠」、liquidity trap「流動性の罠」にかけている)について説明したい。
「臆病の罠」というのは原則上正しい考えを持つ政策立案者が実行面で絶えず中途半端な施策に終わり、揚げ句の果ては政治的にも経済的にも期待外れに 終わるというものだ。日本の場合過去の政策と断固として決別し、我々のような欧米の経済学者が15年以上にもわたって、強く促してきた政策をやっと採り入 れた。とはいえ、実際に実行するときには現状が要求しているよりもインフレ目標を低く設定することが「臆病の罠」である。そうすると離昇達成に失敗するリ スクが高くなる。ロケットで言うと発射したものの空中分解してしまう状態になるリスクが高くなるということだ。黒田総裁はインフレが2%になることを予想 しているが、その根拠を示していない。私が言いたいのは、2%という目標が好況を生み出すのに十分ではない可能性があることだ。黒田氏の主張する2%とい う数字は、その基礎となるモデルが何かわからない。
もしそれが正しくなければ何が起こるかと言うと、インフレ率が1%になるとそれ以上上がらずに、日銀が予想しているレベルには達さないということ だ。その場合政策の信憑性は崩壊する。今重要なことはインフレ率を上げるということを国民に信用させることで、インフレ率が上がれば、実質金利が下がるの でそれが景気拡大を生み出す。今度はそれがさらにインフレ率を上げるという好循環を生み出す。そうなって初めて期待が正当であることが実証されるのであ る。しかし、景気拡大が好況を生み出すのに十分でなければならない。インフレを目標レベルまで押し上げるのに十分な潜在産出量(資本や労働が最大限に利用 された場合に達成できると考えられる長期間維持可能な実質GDPの最高水準)よりも上のレベルで経済が機能しなければならない。確かに量的・質的金融緩和 の効果は出ているが、それでも私は懸念している。需要が弱い状態が続く限り、構造改革をすぐに実行することは難しいからだ。
次に円安について説明しよう。まず大幅に円安になったことは政策の劇的な成功の一つである。日本のメーカーはアベノミクスが実行される直前、過大評 価された円について泣きわめいていた。そのあと円安になりかなり競争力がついたように見えた。例えば、建設プロジェクトがあって、ブルドーザーを買うとき に円安になる前と比べると今は小松製作所のものを買う可能性が高い。日本のメーカーが特定の商品の製造を日本でやるべきか、あるいは中国でやるべきか考え るときに日本で製造すれば実行計画が立てやすく、プロセスにもアクセスしやすいが、中国では賃金を安く抑えることができる。そういうプラス面とマイナス面 を総合的に見ると今は日本がより魅力的な場所である。日本で製造したほうがより利益が得られるだろう。
一般的に通貨安は輸出を推進するという有力な証拠が歴史的にあるとすると、一方ではそういう影響は数回の四半期までは結果が見えにくいという経済 データもある。普通10%円安になると10%輸出が伸びるはずだが、円安の影響がもっと出てほしいと私は思っている。賃金が上がる前に物価が上がるという 円安のマイナス面が今出ているが、総合的に見ると円安のマイナス面よりもプラス面のほうが大きい。
85年にプラザ合意でかなりドル安になったが、それから2年間ほどなぜアメリカ経済はよくならないのかと専門家たちは言い続けた。2年後にはアメリ カの貿易赤字は激減したが、それは通貨の大きな動きがあったときにその影響が出はじめるのに時間がかかるということだ。もう少し時間が経過すると輸出は伸 びると思う。プラザ合意は為替相場の貿易に対する影響において、一種の自然実験と言ってもいい。最終的には理屈通りになったが、タイム・ラグがあった。最 初の半年は何も起こらず、1年半経ってもあまり変化が見られなかった。2、3年してはじめてその影響が見え始めたのである。
円安のマイナスの影響で物価はすでに上昇しているが、物価だけが上昇するのは当然好ましくない。賃金は年に3、4%上がり、物価は年に2%かそれ以上上がるのがいい。
日本では今急速な円安のマイナス面が表面化し、物価が上昇しているが、それに対して賃金上昇が追いついていないために、スタグフレーションに陥りつつある。
ポール・クルーグマン
1974年イェール大学卒業。77年マサチューセッツ工科大学で博士号を取得。2000年よりプリンストン大学教授。大統領経済諮問委員会の上級エコノミ スト、世界銀行、EC委員会の経済コンサルタントを歴任。91年にジョン・ベイツ・クラーク賞、08年にノーベル経済学賞を受賞。
http://president.jp/articles/-/14177
http://president.jp/articles/-/14177?page=2
http://president.jp/articles/-/14177?page=3
http://president.jp/articles/-/14177?page=4
折りたたむ
クルーグマン教授・独白「日本経済は、世界の良きモデルになる」【1】 ノーベル賞経済学者が安倍総理に直訴:PRESIDENT Online – プレジデント
「今まで日銀や日本政府が実行したことは、消費税増税を除いてはすべて歓迎」――。ノーベル賞経済学者が、今後の日本経済を展望する。
OKINAWA HEADLINE
沖縄のフリーペーパーのインタビュー記事が掲載されました。
地元紙は著しく偏向していますので誤った情報で市民を洗脳しようとしています。
OKINAWA HEADLINEのような媒体が沖縄県内で無料で配布されているということは立派なことだと感心します。…
個別的自衛権と集団的自衛権の違い、日本を取り巻く国際情勢、日米安保と在日米軍との距離感について、丁寧に話をさせていただきました。
配布エリア外でも、LINK先の一番下からPDFで読むことができますので是非ご覧ください。
http://bit.ly/1qhOoUz
画像クリックしてください。ハイパーリンクです。
反日トピを無視しましょう
http://textream.yahoo.co.jp/message/1143582/hbfffca5ha5ta4rl5bbka47a4dea47a4ga4a6?comment=7673
2013-12-29 00:32:18NEW !
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みんなの力を貸して!「本当の声」を日本中に伝えてください!
ベトナム:「我々は中国や韓国のような卑怯な外交手法をとるつもりはない」
なでしこりんです。安倍総理の靖国神社への参拝にケチをつけている中国や韓国の狙いは、自国の悪政をごまかすための手段であることを、実は「日本以外の国家」はよく知ってくれています。日本を愛する有志たちが、日本を守るために資料を集めてくれました。皆さんはこの資料をそのままでもいいし、自分の記事のネタにしてもいいので、一人でも多くの日本国民に「事実」を伝えてください。
アメリカでも国内から、「アメリカは日本に干渉すべきではない」という声明が出されています。オバマ政権は、中国や韓国による「政治目的の靖国攻撃」に利用された己の無知さに遅かれ早かれ気づかされることになるでしょう。でも今は、日本のマスゴミの「捏造情報」を上回る量を私たちは拡散しなければなりません。まずはあなたのブログやフェイスブック、ツイッターにこの資料を貼ってください。どうか日本を守るためにあなたの力を貸してください!みんなの力で日本を守りましょう! By なでしこりん
マスゴミが隠蔽する、中韓以外のアジア諸国及びアメリカの声
まずは本当のアジアの声
★シンガポール リー元首相:「靖国問題も中国が心理的なプレッシャーをかけているだけ」
★台湾、李登輝元総統:「国のために命を亡くした英霊をお参りするのは当たり前の事。外国が口を差し挟むべきことではない」
★カンボジア:フン・セン首相:「戦没者の霊を弔うことは当然のこと」首相の靖国参拝に理解
★インドネシア:ユドヨノ大統領:「国のために戦った兵士のためにお参り、当然」靖国参拝に理解
★ベトナム:「我々は中国や韓国のような卑怯な外交手法をとるつもりはない」
★マレーシア、外相:「過去は過去である」
★タイ:「参拝を支持」
★インド:「参拝を支持する」
★パラオ、レメンゲサウ大統領:靖国参拝に「すべての人のために祈るのは正しいこと」と支持を表明
★ソロモン諸島のケマケザ首相:「日本とソロモン諸島の共通の文化は先祖に感謝すること。英霊が祭られている場所を拝見したい」
ここからはアメリカの声
★マイケル・オースリン氏:「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで非難すべきではない」
★米ジョージタウン大 ケビン・ドーク教授:「靖国参拝は日本国民と、民主的な選挙で国民から選ばれた安倍首相ら国会議員が自身で決める、日本のすこぶる国内問題だ。中国と韓国がなぜ、この日本の国内問題に首を突っ込むのか、いまだに理解できない」
★シーファー元駐日大使:「アメリカ政府は、日本の靖国参拝に干渉することはない」
★ウォーツェル米中経済安保調査委員長:「『歴史認識非難』は単なる対日攻撃手段、靖国参拝、中止すべきでない」
★トーマス・スニッチ氏:「中国には日本の戦没者追悼に対し一定の方法を命令する権利はない 」
★アーサー・ウォルドロン氏:「事の核心は日本に対し覇権を確立したいという中国の野望だ」
皆さん、こんばんは。安倍晋三です。
政権発足から5か月が経過しました。
今週、無事、25年度予算が成立いたし ました。年末からの予算編成で、年度をまたぎましたが、国民への影響を最小限におさえながら、結果を出す政治を、また一歩前に進めることができたと考えています。
「アベノミクス」という言葉も、最初は「禁じ手」の代名詞のように言われていました。「次元の違う」金融緩和も、多くの批判を浴びました。
しかし、いざ実行に移した後は、国際的にも理解を得られましたし、今年1-3月期のGDPは年率3.5%のプラス成長になるなど、実際に世の中も動きつつあるのかなと感じております。
…
長いデフレ不況を振り返れば、まだまだ反転の「兆し」というレベルに過ぎませんが、この動きを、力強い成長軌道に乗せていくべく、今後とも、全力で取り組んでまいります。
ゴールデンウィークは、本格的な経済外交をスタートさせました。ロシアと中東です。
大企業のみならず、中堅・中小企業の皆様も含めて、総勢100名を超える、経済ミッションにも同行していただき、官民一体で、日本の「強み」を売り込んでまいりました。
1週間で2万8千kmを移動する強行軍ではありましたが、ここにご出席の多くの方にもお付き合いいただいたわけでございますが、ロシアも、中東も、伸び盛りの成長センター。医療システム、食文化、エネルギー、インフラなど幅広い分野にわたり、日本企業がかかわるプロジェクトが動き出しました。手ごたえは、十分です。
チャレンジ、オープン、そしてイノベーション。そして、その3つの要(かなめ)とも呼ぶべきものが、「行動:アクション」であると考えます。どんなに素晴らしい成長戦略でも、作文では意味がありません。
「行動」なくして、「成長」なし。今後とも、時間の許す限り、世界中のどこへでも出かけ、トップセールスを進めていきたいと思います。
近く、ミャンマーを訪問します。
ミャンマーは、古くからの友人であり、親日国です。昨年訪れた際、沿道に町中の子どもたちが集まり、日の丸をふって出迎えてくれたことを、今でも覚えております。
幾多の困難を乗り越えてきたミャンマーの発展のために、持てる力で、あらゆる協力を惜しみません。官民一体で進めていきたいと考えています。
オープン戦略と積極的な経済外交は、私の専売特許ではありません。半世紀前にも、開放経済へと大きく舵を切り、海外で日本を売り込んだ総理大臣がいました。池田勇人総理であります。
池田総理が、昭和37年のヨーロッパ訪問の際に、当時のド・ゴール大統領から、「トランジスタ・ラジオのセールスマン」と評されたという伝説は、あまりにも有名であります。
このトランジスタ・ラジオの登場を機に、「日本の電機産業」は「世界のエレクトロニクス産業」へと飛躍しました。
エレクトロニクスと自動車に代表される、日本の「ものづくり」は、世界を席巻し、日本を高度成長へと導きました。昭和43年には、当時の西ドイツを抜き、アメリカに次ぐ世界第二位の経済大国へと登り詰めました。
その原動力は、製造業における、旺盛な投資意欲でありました。
60年代以降、製造業の設備投資は、減価償却を大きく上回る水準で推移し、次々と工場が建設されました。
生産性が飛躍的に向上しました。その結果、給与が上がっていった。まさに「所得倍増」の時代です。
しかし、バブル崩壊を機に、長引くデフレの中で、企業活動は萎縮し、投資は、「減価償却の範囲内」。これが、経営の常識となってしまいました。
国際競争でも連戦連敗。「メイド・イン・ジャパン」の誇りは、まったく色あせてしまいました。
長引くデフレと自信喪失。この呪縛から日本を解き放つのが、私の仕事です。
(日本から世界に展開する)
その実現の鍵は、日本が生み出した優れたシステム、技術を、世界に展開していくことであります。
医療、食文化、宇宙、防災、エコシティ。今や、従来のインフラだけにはとどまりません。
私たち日本人が築き上げてきた、誇るべき様々なシステム。これを、世界が求めています。大きな商機です。
トップセールス、戦略的な経済協力、そして、国際標準の獲得。新しい「インフラシステム輸出戦略」を打ち立て、現在10兆円のセールスを、2020年までに3倍の30兆円まで拡大してまいります。
(世界から日本に取り込む)
もう一つの鍵は、世界の技術、人材、資金を、日本の成長に取り込むことであります。
日本で、大胆な投資を喚起しなければなりません。
その主役は、企業です。ここにも経営者の皆さんがたくさんいらっしゃいますが、政府もがんばりますので、皆さんには、ぜひともチャレンジしていただきたいと思います。
その目指すところは、投資によって労働者の生産性を高め、手取りを増やすことです。意欲を持って働く人たちが、報われなければなりません。
経済界には、先般、報酬引上げを要請いたしましたが、今年の春闘では、たくさんの企業がよく応えてくださったと思います。報酬が上がることは、消費を拡大し、景気を上昇させて、企業にもメリットがあります。
政府も、投資しやすい環境づくりをはじめ、成長戦略を骨太に実行します。経営者の皆さんにも、雇用や報酬という形で、働く人たちに、果実を行き渡らせて頂きたいと思います。
「世界で勝って、家計が潤う」。アベノミクスも、いよいよ本丸です。
トランジスタ・ラジオの開発で、世界をリードしたソニーは、その後、資本にまさる大企業に、後塵を拝することとなりました。
「ソニーはモルモットだ」と揶揄する声に対し、創業者である井深 大(まさる)さんは、こう述べて、社員に奮起を促したと言います。
「決まった仕事を、決まったようにやるということは、時代遅れと考えなければならない。」
「常に新しいこと」を「製品に結びつけていく」。そのような「『モルモット精神』を上手に活かしていけば、いくらでも新しい仕事ができてくる」
新たなイノベーションに挑み続ける「モルモット精神」を持つ企業に、大きなチャンスを創る。これが、安倍内閣の役割です。
(実用化につなげる規制・制度改革)
ここにいる皆さんは、世界に冠たる企業ばかり。
しかし、一寸先は闇。これは政治と同じです。私も身をもって経験いたしました。歩みを止めてしまえば、一巻の終わり。世界の競争相手は、すごいスピードです。皆さんを食ってしまうでしょう。
競争相手よりも一歩先のイノベーションを、常に生み出し続けるほかに道はありません。
私は、新たなイノベーションに果敢に挑戦する企業を応援します。その突破口は、規制改革です。
例えば、燃料電池自動車。二酸化炭素を排出しない、環境にやさしい革新的な自動車です。
しかし、水素タンクには経産省の規制、国交省の規制。燃料を充てんするための水素スタンドには、経産省の規制の他、消防関係の総務省の規制や、街づくり関係の国交省の規制という、がんじがらめの規制の山です。
一つずつモグラたたきをやっていても、実用化にはたどりつきません。
これを、今回、一挙に見直します。
それから、いわゆる「ビッグ・データ」。
毎日、世界中で「250京(けい)バイト」もの、膨大なデータが生まれています。GPSでとった移動情報、ネット取引の情報など。付加価値の高い新たなサービスやビジネスを生み出しうる「宝の山」です。
しかし、「プライバシーか、データ利用か」という二項対立が続き、宝の山は、打ち捨てられていました。
これにも、メスを入れます。
匿名化してプライバシーを守った上で、積極的にデータを利用できるようにします。「国際先端テスト」の手法で、諸外国の例を参考に、まずは、国がガイドラインをつくることにします。
ここにいる皆さんもご存じのように、燃料電池自動車も、ビッグ・データも、果たして、何年議論されてきたでしょうか。
もう議論は十分です。とにかく「実行」に移します。
新しいイノベーションを芽吹かせるため、安倍内閣は、これからも、必要な規制改革をどんどん進めてまいります。
(先端実証「規制ゼロ」)
車が自動で走る時代が来る。夢のような壮大な実験が、今、アメリカで進んでいます。一企業であるグーグルが、特別な申請を行い、走行実験が認められています。
アメリカでできて、日本にできないことはないはずです。日本においても、公道における自動走行の実証実験を進めていきます。
世界で初めての製品の実験をやりたいが、規制が邪魔をして、できない。しかし、やらなければ、世界に負けてしまう。そういう企業には、代替措置を講ずるとの条件で、規制の特例を認める制度を、新たに創設したいと思います。
万人に対して規制が変わるのを待つのではなく、自分が実験台になるから、とにかくやらせてほしい。そんな「モルモット精神」にあふれる企業に、大きなチャンスをつくりたいと思います。
日本の企業だけではありません。イノベーションに貪欲な「将来の成長企業」を、世界中から日本に集めたいと思います。
「そうだ、京都、行こう」というJR東海のキャッチフレーズがあります。何か新しい試みをしたければ、「そうだ、日本、行こう」と思ってもらえるような、世界に誇る「実証先進国」を目指してまいります。
人材も、資金も、すべてが世界中から集まってくるような日本にしなければ、「世界で勝つ」ことはできません。
今、世界で活躍しようと考えて、日本の大学を選ぶ若者が、世界にどれだけいるでしょうか?
「世界大学ランキング100」というものがあります。日本の大学は、残念ながら、2校しかランクインしていません。
「日本の大学」ではなく、「世界の大学」へ。
日本の大学は、もっともっと世界を目指すべきです。「日本の大学は、日本人を育てるためのものだ」などという狭量な発想を捨てることが、私の考える「大学改革」です。
(真の意味での産学連携)
トップ1・2は、カリフォルニア工科大学、スタンフォード大学です。ピンときた方もおられるでしょう。そう、シリコンバレーです。
大学自身が、ビジネスに深くコミットしています。卒業生がベンチャーを立ち上げるときには、自ら出資するような仕組みもあります。
卒業生の、研究レベルだけではなく、リスクを恐れない「起業精神」の高さが、世界的に評価されているのです。
「象牙の塔」などという言葉は、すでに通用しません。日本の大学も、まずは、自分でビジネスをやるところから始めなければなりません。そこから、真の意味での「産学連携」が生まれるものと確信しています。
大学のガバナンス改革と、自らビジネスに出資することを可能とするよう、規制改革を進めます。
(世界の大学へ)
明日、大分県にある立命館アジア太平洋大学に伺います。ここは、教授陣も、学生も、約半分が外国籍です。東南アジアの国々だけではありません。中東の国々や、ボツワナ、ウズベキスタンなど。世界中から集まっています。
学生生活を通して、世界中の文化にふれることができます。さらには、卒業後の人的ネットワークは、世界に広がっていきます。
まず隗より始めよ。国立の8大学で、今後3年間の内に、1500人程度を、世界中の優秀な研究者に置き換えます。これにより、外国人教員を倍増させます。
大学の経営の在り方も、世界のグローバル・スタンダードにあわせなければなりません。年俸制の導入や、教員の家族が英語で生活できる環境の整備など、経営改革も進めてまいります。
国の運営費交付金などの分配についても、「グローバル」に見直しを行い、大学の改革努力を後押ししていきます。
外国人教員の積極採用や、優秀な留学生の獲得、海外大学との連携、そして、英語による授業のみで卒業が可能な学位課程の充実、TOEFLの卒業要件化など、グローバル化を断行しようとする大学を、質・量ともに充実させます。制度面でも、予算面でも、重点的に支援します。
今後10年で、世界大学ランキングトップ100に10校ランクインを目指します。同時に、グローバルリーダーを育成できる高等学校も、作ってまいります。
(すべての若者に留学機会を)
そして、日本の若者たちには、広い世界を、自分の目で見て、足で歩いてほしい。
私は、意欲と能力のある「すべて」の日本の若者に、留学機会を実現させたい。そのために、官民が協力し、留学生の経済的負担を軽減するための新しい仕組みを創ります。
ビジネスの世界では、今や、「国境は消滅している」と言っても過言ではないでしょう。そんな国際的な大競争の時代にあって、「世界に勝てる」人材を育成していきたいと思います。
(集中投資促進期間における施策総動員)
長期にわたるデフレ、行き過ぎた円高、遅れる経済連携、高いエネルギーコスト。ここ数年、日本は、率直に申し上げて、そもそも投資に値するような国ではありませんでした。
昨年度も、民間投資は63兆円にとどまっており、リーマンショック前の水準よりも、1割ほど少ない状況です。
だから、まず、私は、大胆な金融政策と機動的な財政政策で、空気を一変させるところから、始めました。デフレ脱却への期待は、今、大きく高まっています。
さらに、TPPをはじめ、経済連携に向けた動きも、大きく加速しつつあります。電力システム改革を進め、エネルギー分野におけるイノベーションを鼓舞します。さらに、シェールガスなど燃料調達の多様化は、エネルギーコストの低減を可能とします。
国内投資をとりまく空気は、少しずつ変わり始めたのではないでしょうか。
ある製薬関連企業は、シンガポールと中国から工場誘致を受けて悩んでいましたが、今般、補正予算の設備投資補助金を活用して、日本に投資する決断をしました。
韓国から熱烈なお誘いを受けていた金型製造企業も、同じく、日本で投資する道を選んでくれました。
いよいよ、企業の投資マインドを刺激する「三本目の矢」を放つ時です。
ただ、20年近くかかって萎縮しきったマインドを、一朝一夕に解き放つことはできません。
そのため、今後3年間を「集中投資促進期間」と位置づけ、国内投資を促進するため、税制・予算・金融・規制改革・制度整備といったあらゆる施策を総動員してまいります。
国内投資を阻害する要因は、なんであろうが、一掃します。
そのことによって、まずは、リーマンショック前の民間投資の水準である年間70兆円規模の設備投資を回復したいと考えています。
(大胆な投資を後押し)
生み出すべきは、国際的な大競争に「勝てる」投資です。
日の丸半導体は、しばしば敗北の代表例のように語られがちです。
たしかに、80年代から日本のお家芸であった半導体シェアは、2002年に、サムスンに抜かれました。その理由は、投資です。99年からの3年間をみると、サムスンは、日本企業の3倍以上の投資を行い、一気に抜き切ったのです。
しかし、実は、現在、メモリーカードなどに入っているタイプの半導体は、東芝が生産量ナンバー・ワンなんです。三重の四日市から、世界中に半導体を売っています。
「日本ではもうだめだ」なんて、評論家特有の「自虐的発想」に、呑み込まれてはいけません。
なぜ勝てたのか。その答えも、大胆な投資にありました。2000年代の10年間で2兆円余りを、四日市工場に投資しました。
最新鋭の設備と、規模のメリットで、サムスンを抜き去ったのです。
どんな分野も、「大胆に投資」した企業は勝ち、「中途半端」な企業は負ける。それだけです。「日本」だから負けたのではなく、「萎縮」と「自信喪失」で負けました。
世界一でなければ、激しい競争に生き残れない時代です。競争相手をぶっちぎる、時には4ケタ億円にものぼる、大胆な規模の投資が必要です。
製造業だけではありません。健康長寿やエネルギーなど、新たな成長分野においても、先端医療機器など、最先端の設備への投資を思い切って進めていくことが必要です。
しかし、現実には、稼働率が確保できるか、投資が回収できるか、その見極めが、極めて難しい。
この状況を打破して、企業のチャレンジを後押しする仕組みが必要です。
このため、例えば、設備の稼働状況に応じてリース費用を可変的なものにするなど、リース手法を活用した新しい仕組みを導入します。
こうした金融手法の活用をはじめとして、国として、大胆な設備投資を後押ししてまいります。
(ベンチャー起業支援)
一つひとつの規模は小さいながらも、経済の活力の源である、ベンチャー企業への投資も極めて重要です。
日本のベンチャー精神を阻んでいるものとは、何か?
それは、「個人保証」の慣行です。
個人保証に関する調査によれば、借り入れを行っている中小企業・小規模事業者では、およそ9割に個人保証がついています。規模の小さい事業者であれば、ほぼ必ずついているといってもいいでしょう。
そして、このうちの7割は、個人資産と同じか、それを上回る金額の保証をさせられているのです。
一度失敗すると、すべてを失う、ということになります。
これでは、再チャレンジなどできません。経営の経験やノウハウが、一度の失敗でうずもれてしまうのは、国家全体の損失と言ってもいいでしょう。
ベンチャーがどんどん生まれ、投資であふれるような日本をつくるためには、「個人保証」偏重の慣行から、脱却しなければなりません。
モラルハザードは防止しなければなりませんが、個人の資産と会社の資産を区分してしっかり管理しているような真面目な経営者であれば、個人保証がなくとも融資が受けられるような、中小企業・小規模事業者向け金融の新たな枠組みをつくりたいと考えています。
一度や二度の失敗にへこたれることなく、むしろその経験を活かして積極的に起業していただき、新たな分野を切り拓いてもらいたいと考えています。
(新陳代謝)
生産性を抜本的に向上させるためには、古い設備を廃棄し、思い切った「新陳代謝」を進めていくことが必要です。
今ここにいらっしゃる、坂根相談役のコマツは、建設から40年以上経つ国内工場の建て替えを進めていらっしゃいます。
古い設備のままで省エネしようとすると大変です。ところが、新しい設備にとりかえれば、使用電力を半減でき、生産性を3割も向上できるそうであります。
こうした「新陳代謝」を進めれば、「日本でのものづくりはまだいける」と語る坂根相談役の言葉には、本当に勇気づけられます。
企業の中でも、成熟した事業分野から、新しい事業分野への新陳代謝が必要です。構造的に過剰供給構造や、国内消耗戦に陥っている産業分野では、収益性を高めるため、再編を進めることも必要です。
設備の新陳代謝への支援に加えて、収益力の向上に向けて、大胆な経営改革や事業再編を後押しする施策を用意したいと思います。
「民間投資の拡大」、「新市場の開拓」、「事業再編の促進」の3つを柱に、政策を総動員してまいります。
さて、モスクワの日本食フェアは大盛況でした。
それにしても、「久兵衛」のお寿司には、最後の最後まで、ロシアの方々で長蛇の列。やっぱり「本物」は、国境を越えて、伝わるんですね。
「本物」の寿司のシャリは、日本のコメでなければなりません。寿司にぴったりなのは、日本酒です。すべてがつながっていくんです。「日本食」は、日本が生み出した「システム」なんですね。
(輸出倍増戦略)
世界の食市場は、10年程度で倍増すると見込まれています。大きなチャンスです。
現在340兆円の世界の食市場の中で、日本の農産物・食品の輸出額は、わずか4500億円程度。こんなもんじゃないはずなんです。
牛肉や果物は、海外での高い評価を考えれば、まだまだ増えるはずです。
水産物であれば、ブリやサバ。東南アジアやEUなどで需要を開拓する余地がまだまだあります。
さらに、コメや、日本酒などのコメ加工品も、世界の比較的裕福な地域に輸出が拡大していくことは間違いありません。
国別・品目別の戦略を定めていくことで、必ずや、輸出を倍増し、1兆円規模にすることは十分に可能であると考えています。
(付加価値増大)
次に、おふくろの味です。日曜日、仙台で田植えした後に、おむすびをいただきました。かなり大きかったのですが、本当においしかった。自家製のおコメを使って、今月からおむすび屋さんを始めたそうです。
惣菜でも何でもいいんですが、農産物をそのまま売るんじゃなくて、一手間かけるだけで付加価値が増すんですね。
消費者と直接つながってしまえば、流通マージンがなくなるだけではなく、消費者のニーズをくみ上げて、より高く売れる商品を開発することも可能となります。
さらには、観光業や医療・福祉産業など、さまざまな産業分野とも連携することで、もっと儲けることも可能です。
日本の農業は、これまで、そうした取組をあまりやってきませんでした。しかし、だからこそ、無限の可能性が広がっています。
私は、現在1兆円の「六次産業化」市場を、10年間で10兆円に拡大していきたいと思います。
このため、新たなビジネスモデルを構築しようと取り組む生産者に対して、公的ファンドからの出融資による経営支援を行います。いわば「儲かる農業開拓ファンド」です。
(
供給サイドの構造改革)
供給サイドの構造改革も、避けて通れません。
農業や農村の現場をとりまく状況は厳しさを増しています。
この20年間で、農業生産額が、14兆円から10兆円へ減少する中で、生産農業所得は、6兆円から3兆円へと半減しました。
基幹的農業従事者の平均年齢は、現在、66歳です。20年間で、10歳ほど上がりました。これは、若者たちが、新たに農業に従事しなくなったことを意味します。
耕作放棄地は、この20年間で2倍に増えました。今や、滋賀県全体と同じ規模になっています。
高齢化の急速な進展は、一見すれば「ピンチ」ですが、意欲ある若者にバトンタッチできれば、構造改革に一気にドライブできる「チャンス」になると私は思います。
日曜日に、仙台で、農業に飛び込んだ若者たちと話す機会がありました。本当に頼もしい。こっちが元気をもらったぐらいでありました。
新規就農に燃える女性もいました。バラバラの耕作放棄地を集約して、逆に発展の土台にしたい、発展の土台にしたいというのは、その地域はまさに被災地でありますから、被災地から復興に向けて、農業において発展の土台にしたい、このように力強く語っていました。
農業が、産業として、これほど注目された時が果たしてあったでしょうか。
私は今までで、最も今、農業が日本で注目されていると思います。
私は、農業の構造改革を、今度こそ確実にやり遂げます。
何よりも、農地の集積です。農地の集積なくして、生産性の向上はありません。このため、都道府県段階で、農地の中間的な受け皿機関を創設します。「農地集積バンク」とも呼ぶべきものです。
この公的な機構が、さまざまな農地所有者から、農地を借り受けます。そして、機構が必要な基盤整備なども行った上で、民間企業も含めて農業への意欲あふれる「担い手」に対して、まとまった形で農地を貸し付けるスキームを構築していきます。
さらに、耕作放棄地についても、意欲あふれる「担い手」による農地利用を促すため、必要な法的手続きを思い切って簡素化していきます。
(農業・農村の所得倍増目標)
これらを柱に施策を総動員することで、必ずや、農業・農村の所得は倍増できるはずであります。
今日、私は、ここで正式に、「農業・農村の所得倍増目標」を掲げたいと思います。
池田総理のもとで策定された、かつての所得倍増計画も、10年計画でありましたが、私は、今後10年間で、六次産業化を進める中で、農業・農村全体の所得を倍増させる戦略を策定し、実行に移してまいります。
その着実な推進のために、新たに、私を本部長とする「農林水産業・地域の活力創造本部」を官邸に設置します。さっそく来週から、稼働します。
「何でも自分次第。農業も頑張れば、所得は増えると思っている。」
日曜日に会った若者の一人は、目を輝かせながらこう語ってくれました。
農業が元気になれば、間違いなく地域の活力も生まれてきます。私は、必ずや、若者たちが、希望を持って働きたいと思えるような「強い農業」を創りあげていきます。
(美しいふるさとを守る)
農業の素晴らしさは、成長産業というだけにはとどまりません。
棚田をはじめ中山間地域の農業は、田んぼの水をたたえることで、下流の洪水被害の防止など、多面的な機能を果たしており、単なる生産面での経済性だけで断じることはできない大きな価値を有しています。
そのため、このような多面的機能も評価した、新たな「直接支払い制度」を創設することが必要と考えています。
息を飲むほど美しい田園風景。日本には、朝早く起きて、汗を流し田畑を耕し、水を分かち合いながら、五穀豊穣を祈る伝統があります。
農業を中心とした、こうした日本の「国柄」は、世界に誇るべきものであり、断固として守っていくべきものです。
製造業が、日本の高度成長の基礎となった産業であるとするならば、農業は、「国の基(もとい)」、すなわち、世界に誇るべき日本の伝統・文化を生み出した基礎であると考えます。
先般、日本の伝統歌舞伎の十八番、「勧進帳」を鑑賞しました。
勧進帳と言えば、今から6年前、亡き市川團十郎さんが、牛尾会長の導きで、パリで公演を行い、パリ市民を沸かせたことを覚えています。
まだ、世界の人々は、日本のことを知らない。どうやって日本に引っ張り、日本の文化を輸出するか。この分野でも、安倍内閣は、攻めまくります。
(観光立国)
江戸末期から明治初期にかけて日本を訪れた、たくさんの外国人が、一様に、日本の田園風景の美しさ、豊かな国民性に感動したと言います。
我が国の「観光立国」としての歴史は、とても古いのです。
明日は、別府温泉に泊まる予定となっていますが、外国人観光客もたくさん集まっていると伺います。
日本を訪れる外国人旅行者は、年間800万人前後。これに対し、韓国は、この5年間の内に、ほぼ倍増し、年間1100万人。一気に抜き去られました。
為替レートの差も大きいのですが、より構造的な問題の一つに、ビザ制度の違いがあります。
タイやマレーシアからの旅行者は、日本ではビザが必要ですが、韓国では90日以内の滞在であればビザが不要です。
まずは訪日者数1000万人をめざし、さらには2000万人の高みを目指して、観光立国型のビザ発給要件の緩和を進めていきます。
これまでは中国や韓国からの観光客が目立っていました。日ASEAN友好年40周年にあたる今年は、ASEAN諸国から日本への観光客を増やすために、こうした国々を中心にビザ制度の見直しを行ってまいります。
(放送コンテンツの海外展開)
北海道を訪れる、台湾からの観光客は、この15年でなんと5倍に増えました。5倍です。そのきっかけは何でしょう。そのきっかけは、台湾で放送された、北海道を紹介する番組です。
「きゃりー・ぱみゅぱみゅ」。これはもう発音しにくくて、皆さんご存知でしょうか。この人気歌手、もう二度と発音はしませんが、この人の人気と、岡山の桃太郎ジーンズの海外売上の倍増。共に、フランスで放送された日本の番組がきっかけでありました。
この、「きゃりー・ぱみゅぱみゅ」も、日本で有名になる前にフランスで火が付いたわけであります。
韓国では、コンテンツ輸出をきっかけに、「コリアン・ビューティー」が海外でも話題となり、化粧品の貿易赤字が解消され、今や輸出国です。
放送コンテンツの海外展開は、それだけ影響力がある。日本の取組みは、まったく不十分です。輸出は、韓国の半分以下にとどまっています。
日本の文化産業の実力からして、あり得ない数字です。これから大々的に海外展開していきます。
放送コンテンツの現地化と売り込みを支援します。「巨人の星」は、インドではクリケットにしなければいけません。
今年、シンガポールで「Hello JAPAN」という日本専門チャンネルが開局しましたが、海外のチャンネルや放送枠の確保も重要です。500億円規模の官民ファンド、「クールジャパン推進機構」を創り、出資により応援します。
海外で放送するには、個々の出演者や音楽など、極めて複雑な権利調整が必要です。これも、繰り返し指摘されてきた課題で、長い間放置されてきました。この政権で必ず動かします。複雑な権利処理手続きを一元的に管理する窓口機関を整備します。
5年後までに、現在の3倍近い海外売上を目指します。
その波及効果は、4000億円。「クールジャパン」を起爆剤に、製造業も、サービス業も、「オールジャパン」で、海外に展開していきたいと思います。
先月、「女性の活躍」を中核に、成長戦略の第一弾をご説明しました。そして、今日、第二弾として、「世界で勝つ」をキーワードに、規制改革などによる投資拡大策や、攻めの農業政策について、お話しました。
これで終わりではありません。改革の意志を継続しながら、力強く前に進んでいきます。
最後に、「アカデメイア」の生みの親、プラトンの「洞窟」の比喩で締めくくりたいと思います。
洞窟の奥深くで、子どもの頃からずっと、壁に向かって縛られている人は、壁に映る「影」を「実体」と思い込んでいる。
振り向くことが許されて、初めて、自分たちで見ていたものは「影」に過ぎなかったことに気づく。さらに、導かれた洞窟の外で、太陽の光を初めて見て、自分がいた世界は、ほんの一部でしかなかったことを悟る。
こんなお話だったと思います。
私が掲げる「次元の違う」政策は、これまで洞窟の壁しか見てこなかった人たちにとっては、驚きのものであったでありましょう。
しかし、外の世界を見た後で考えれば、当たり前のことだったと気づくのではないでしょうか。
太陽が光り輝く世界で、力強く成長する日本。私たちは、洞窟の外に、ためらうことなく飛び出していかなければなりません。
「行動」なくして、「成長」なし。
すでにプラトンの洞窟から脱出した「日本アカデメイア」の皆様にも御協力いただきながら、成長戦略を共に前に進めてまいりたいと思います。
いよいよ、来月には東京都議選があり、7月には参議院選挙であります。
世の中の空気は、少しずつ変わってきたとは言え、私たちの「日本を取り戻す」戦いは、まだまだ道半ばであります。
強い経済を取り戻してほしい。これは、国民の声です。
強い経済あっての、外交であり、安全保障であり、社会保障であります。経済政策に軸足を置いて、これからも政策運営にあたっていきます。
忘れてはならないのが、東日本大震災からの復興です。
日曜日にも宮城県に伺いましたが、総理就任以来、毎月被災地に足を運んでいます。
一日でも早く復興を加速させたい。その思いで、現地に足を運び、現場の皆さんの声に耳を傾け、一つひとつ地道に結果を出してきました。
これからも、毎月被災地に伺って、復興への歩みを着実に進めていきたいと考えています。
そして、こうした政策をしっかりと前に進め、結果を出していくためにも、政治を安定させなければなりません。
決められない政治は、日本の未来を危うくします。ねじれ国会は、「もう、たくさんだ」というのが、多くの国民の声ではないでしょうか。今回の参議院選挙は、日本の政治を取り戻す戦いでもあります。
皆様と共に、この暑い夏を力強く乗り越えていきたい、と思っております。
ご清聴ありがとうございました。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0517speech.html
2013.4.24 03:16 [産経抄]
薩摩、大隅などを治めた島津家は関ケ原で敗れたにもかかわらず、幕府による取りつぶしを免れた。領地はほぼ無傷で安堵(あんど)された。それは島津義弘軍による凄(すさ)まじい退却戦の効果である。敗北後わずか千人の手勢で敵将、徳川家康の本陣に襲いかかった。
▼たじろぐスキに退却を始め、最後は80人になる死にものぐるいの戦いで、義弘は自国に生還した。それを目の当たりにした徳川方は、これ以上追い詰めた場合の島津の抵抗を恐れた。だから戦後処理でも島津家にだけは手を入れられなかったのである。
▼同じようなことは先の大戦でも起きた。日本は敗色濃厚となっても、特攻を繰り返すなど決死の戦いを続けた。それは米国など戦勝国を畏怖させた。このため戦後、さまざまに日本人の「骨抜き」を図りながらも、象徴天皇を残し苛烈な占領政策はとらなかったのだ。
▼そう考えると今、繁栄を享受している日本のリーダーが靖国神社を参拝、英霊たちに感謝するのは当然のことだ。いやそれだけではない。参拝によって日本人の勇敢な戦いぶりを思い起こさせる。そのことは、日本を敵視する国に対する十分な抑止力となると言っていい。
▼麻生太郎副総理ら3閣僚をはじめ、160人を超える国会議員が春の例大祭に合わせ靖国を参拝した。韓国は早速とばかり外相の訪日を中止した。抗議行動も起きているそうだ。この過剰な反応こそ、韓国が日本の「底力」を恐れていることの証拠と思えばいい。
▼例によってマスコミの多くは、日中、日韓外交が悪化すると憂える。参拝を「無神経」などと批判している。だが相手の言いなりに「よい子」でいることだけが外交ではない。中国、韓国をはじめ世界のすべての国が知っていることである。
2013.4.24 07:08 [尖閣諸島問題]
日本漁船(右下)と並走する中国の海洋監視船「海監66」(左)と海上保安庁の巡視船「いしがき」(中央)=23日午前、尖閣諸島の日本領海の境界付近
「想定外だ」。8隻もの中国公船が一度に領海に入る過去に例のない事態に、第11管区海上保安本部(那覇)の幹部は23日、こう繰り返した。海保は今後、尖閣周辺の警備態勢を増強し、専従部隊を編成する方針だが、この部隊が対応する想定も超えており、見直しを迫られそうだ。
昨年9月の尖閣諸島国有化後、中国側は尖閣への関与を強めようとしており、最近では、10時間を超える長時間の領海侵犯や海洋監視機の領空侵犯など、示威行為を多様化させている。
これに対し、海保は巡視船を大量投入して対応にあたっている。
「5隻程度」の中国公船を念頭に、それぞれに巡視船が1隻ずつ対応にあたるシフトを敷いているが、今回は接続水域の航行も含め、中国公船は計10隻と想定の倍だ。
こうした事態に、河野克俊海上幕僚長は23日の記者会見で、引き続き海保の活動を側面支援する考えを示した。
海保は平成27年度までに、全国の巡視船の運用をやりくりして尖閣対応にあたる現在の手法を見直し、12隻態勢の中国公船専従対応部隊を編成するが、この部隊も中国公船5隻程度の想定にとどまる。海保幹部は「中国が今後展開を強化すると、専従部隊だけで対応できない」と話した。
2013.1.17 11:28 [中国]
17日、中国江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を訪れ、頭を下げる鳩山元首相。左端は幸夫人(共同)
【上海=河崎真澄】中国を訪問中の鳩山由紀夫元首相は17日、日中戦争で旧日本軍による南京占領で起きたとされる「南京事件」の資料などを展示する江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を訪問した。日本の首相経験者が同館を訪れるのは、海部俊樹、村山富市両元首相に続いて3人目。
中国版のツイッター「微博」などでは、「もっと日本に鳩山元首相のような人が増えればいい」といった同館訪問を歓迎する発言に加え、「記念館で鳩山はざんげしろ」「日本人は歴史を直視しろ」などとの書き込みもある。鳩山氏と対比する形で、東南アジア歴訪中の安倍晋三首相を「右翼的思想だ」と警戒感をむき出しにした発言も目立つ。
歴史認識をめぐって植民地支配と侵略を認めた「村山談話」を継承しつつ、新たな談話の作成を進める安倍内閣に対し、中国側はいわば同館への鳩山氏訪問のタイミングを利用し、牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。
鳩山氏は16日の賈慶林全国政治協商会議主席ら中国要人との会談で、沖縄県の尖閣諸島について、日本政府の公式見解と異なり中国との「係争地」と発言、波紋を広げている。