【そこまで言って委員会】
安倍首相「橋下市長の国政進出ありえる」「戦争法案なら私も反対する」
安倍晋三首相が6日放送の読売テレビの番組「そこまで言って委員会」で語った主な内容は次の通り。番組は首相が4日に大阪を訪問した際に収録された。
--国会開会中だが、(大阪での出演は)まずくはないか
首相「国民にしっかりと説明せよと言われていますので、首相の役目として、こういう番組を通じて、国民のみなさまに、わかりやすく説明をしたいと思います」
--安全保障関連法案の話をする。反対意見では今回の法案ができると、世界中で戦闘行為が実際にできそうなイメージを持っている人が多いが、そんなことは一行も書いていない。なぜここまで誤解が広がっていると思うか
首相「私たちの説明の仕方にも問題が(あると)、反省をして、こういう機会を通じて、まさに国民の命を守るために必要なんだということを理解をしていただきたいなと思う」
--自ら模型で説明をして、少しずつわかってもらっているという実感はあるか
首相「そのまま説明をするより、たとえ話で説明した方がいいですが、たとえ話と実際の法案を中身は、もちろん違う。なんでこんなたとえ話なんかするんだという批判もあるが、しかし、たとえ話をすると、それでわかりやすくなった、よくわかったという方もおられるのも事実」
--安保法案が話題になるほど、支持率が下がるという現実があったが
首相「安全保障にかかわる政策を進める場合は、どの内閣も支持率は落ちる。例えば、安保条約を改定した岸(信介)内閣は、それと引き換えに退陣しているし、宮沢(喜一)首相の時のPKO(国連平和維持活動協力)法もそうですから。それは、もう覚悟の上ではありますけど」
--それは、安保法案が成立したら退陣するという意味ではないか
首相「まったく考えていない」
--かなりつっこんだ質問ある。覚悟は
首相「この番組に出る以上(笑)」
--15の質問。安保法案は戦争法案ではないといえるか
首相「もちろんイエス。戦争法案であれば、私も反対してます。多くの国々が支持してますから、戦争法案ではないことは明らか」
--70年談話はあれでよかったか
首相「私はよかったと思ってます。多くの方々に納得していただけるものを出そうと考えて作成した」
--本当は「侵略」と(いう言葉は談話に)入れたくはなかったのでは
首相「あの、よく読んで頂ければと思います」
--中国の抗日戦争勝利70年式典に行きたかったか
首相「和解の要素が入っていなければ、行けませんということを、先方には伝えていたが、これは、日本だけでなく、アメリカや多くの国々はそう考えていたんだろうと思います」
--事前に行くかもしれないという話が出回ったこともあった。そんな話はあったのか
首相「式典自体が、和解の要素がしっかり入っていて、反日的なものでなければ、それはわれわれも考えました」
--ふたを開けてみると、かなり反日的な軍事パレードだったが
首相「抗日戦勝利、反ファシズムの式典でしたから、名前からして、そういうイメージを世界に発信するものであると」
--韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領ともっと仲良くしたいか
首相「みなさんが思うより、私は、親しいんだと思いますけどね。大統領に就任される前に、何度も、面識あった、食事をしたこともあった。当然隣国ですから仲良くしたいと思います」
--日本には偏向しているメディアがあると思うか
首相「この番組に出ている、コメンテーターのような方が出れるような番組が、増えればいいんではないかという人もいますね」
--週刊誌の吐血報道は誤りか
首相「「ごほん」(手で口を覆って咳き込み、その手を見せるしぐさをする)
--ここでギャグ入れられても
首相「高杉晋作じゃありませんから」
-妻(昭恵夫人)は(ミュージシャンのの)布袋寅泰の大ファンか
首相「こんな質問するのか、という質問ですね。イエスですね」
--五輪エンブレム問題の佐野研二郎氏は残念か
首相「結果が、ああいう結果になったのは残念ですけどね。みんなで祝福する。ざこばさんも祝福するオリンピックにしたいと思いますね」
--2020年の東京五輪まで首相を続けたいか
首相「まずは、来るべき総裁選挙に勝つことですから。それで(総裁任期は)3年ですから」
--原発は、将来的にはゼロにしたいか
首相「:安全が第一。しかし、このままでは電気料金が上がっていきますから、その中で、厳しい基準に適格だと判断されたものについては、動かしていきたい。ただ、比率はできる限り下げていきたい」
--日露首脳会談は年内に実現したいか
首相「適切なかたちで、適切な時期に実現したいと」
--実現したいというところはイエスか
首相「イエス」
--年内には(実現したいということか)
首相「それは、双方の状況もありますし、国際情勢もありますし」
--中国バブル崩壊に危機を感じるか
首相「何とかコントロールできるんだろうと思いますね。G20に麻生(太郎財務相)さんが出席をしますから、せっかくのG20ですから、中国経済について、率直に議論したらいいんだろうと思います」
--何とかコントロールできるのか
首相「今まで、そういう議論をしたこと、G20でありませんから」
--首相が何とかコントロールできると発言した
首相「経済部の長谷川(幸洋)さんどう思いますか」
長谷川氏「私は実は…」
--長谷川さんの意見は後にすることにして。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が妥結しても日本は損をしないか
首相「損をするならば、TPPに参加しませんから、損する妥結はしない。これははっきりしている」
--アベノミクスは成功しているか
首相「成功しつつある。しつつ」
--2017(平成29)年の消費増税、8%から10%(への再増税)は見直さないか
首相「これは、イエス。リーマンショックのようなものがない限りは」
--新聞によっては朝、見るのがイヤだという新聞はあるか
首相「一応全部見ます。長谷川さんの会社の新聞もね」
--「けっ」という感じか
首相「驚くことがあります」
--何に最近驚いたか
首相「最近でいうと驚いたのは、自衛隊は核弾道を輸送という1面記事が出た。びっくりした。あり得ない」
--中谷元・防衛相が、かなりあいまいな答弁したからでは
首相「あいまいではなくて、純粋に法理的にはどうかということ。これは、例えば、他の周辺事態(安全)確保法だって、他の法律だって、そんなことは禁止されてませんから。それは、そうだと聞かれたら、そうだと答えるんですが。
ですけど、アメリカが日本に核弾道を運んでくれということは、120%、ケビン・メアさん、ないですよね? もちろん、こちらの能力もない。机上の空論なんです。机上の空論に、こちらも机上の空論で答えざるをえない。それを、まるでやるかのごとくというのは、びっくりする」
--なぜ吐血報道が出たのか
首相「風邪をひいていたのは事実。それは、最近の話。吐血報道が出たときは、本当に元気でしたし、今でももちろん元気なんですが。今の時代、高杉晋作みたいに吐血って。もう、その後ゴルフとかしてますから」
--日米韓の首脳会談で、安倍首相が韓国語で話かけていたことがあった
首相「同時通訳だったから、イヤホンを入れてたんで、聞こえにくかったのか、私の発音が、あれだったのか」
--人から見えていないところで、朴大統領もニコニコしているというのは本当か
首相「基本的には、いろんな場面で、お目にかかるが、大変雰囲気は温かい雰囲気ですよ」
--日中韓の首脳会談が行われる見通しと報道されたのは
首相「すでに、日中韓の外相会合は行っている。その上で、首脳会談を行おうということについては、ある程度すり合わせはできている。今、明確になったということですね」
--会談では何を話すのか
首相「話すことはたくさんありますね」
--竹島を返せとかは言えないだろう
首相「もちろん、隣国ですから。対立する問題はありますけど。対立問題があるからといって、会わないというのは、間違い。話すべきことは、経済、人的交流、外交、国際政治、国際的な課題はたくさんある」
--裏交渉は、日韓でも相当やっているのでは
首相「いろいろ、努力はね」
--中韓両国だけでは決められるはずはない。水面下で『中国に行ったらこんな話はするが』という話はしているか
首相「そういうことについて、なかなか、ここでいきなり私がそうですよというわけにはいけませんけども」
--70年談話について。全文の最終的な文言はいつ確定したか
首相「21世紀構想懇談会で提言書をまとめていただいて、これをベースとして、ただちに作成作業に入って、相当推敲(すいこう)に時間がかかったが、8月に入る前に、かなり骨格は出来上がっていた」
--作成は自身でか
首相「これは、もちろんいろんな方たちとともに、それぞれ知恵を絞りながら、作成した」
--朝日新聞は批判していた。記事は読んだか
首相「こう書くしかないんだろうなと」
--15日の朝日の社説はこんな談話ならいらなかったって書いてあった。
首相「主語がないとおっしゃっても、閣議決定してるんですから。安倍内閣として閣議決定しているんですから、安倍内閣として出した文章なんですよ。ですから、まさに、(談話の主語は)基本的にわれわれ内閣であることは間違いないこと」
--ホワイトハウスの発表はすごくよかったと。談話は高く評価された
首相「インドネシア、フィリピン、あるいはベトナムから評価されている」
--結果的に内閣支持率が回復傾向になったことについては
首相「正直言ってほっとした。いわゆる談話によって支持率が上がるとはないと思っていた。村山談話においては、相当激しい議論があったのは事実。そうすると、なかなか終止符を打てない。私と言うよりも、内閣全体として、国民を全体を見ながら、だいたいの方々がだいたい、こういうところだろうと納得できるものにしたいという、談話にした。21世紀懇談会においても、日本の歴史だけをみていたんでは、見方としては誤りであって、世界がどういう世界だったか。100年前どうだったか。特定の時点だけをみても、わからない。歴史はつながっているから。どこで日本が敗戦に至る道を歩んでしまったのか、アジアの人々に、多大の苦痛を与える結果になってしまったのか。村山談話は、国策を誤ったという抽象的な言い方しかしていない。抽象的な言い方であっては、教訓にはならない。私たちはどこで、道を誤ったのか、何を学んでいるんだと、しっかりと書くべきではないか、そうしないと未来につながらない」
--80年談話は必要か
首相「私たちとしては、歴史的に終止符を打つものにしたいという気持ちで談話を書いたが、それは、10年後のみなさんが…」
--10年後も首相をやっているかも
首相「ありえないですけども、その時の国民のみなさんが、決めることだろうと思います」
--消費税を10%に引き上げるのか。5%から8%にあげるのは、大変だった
首相「消費税をあげることが目的でない。社会保障制度を次の世代に引き渡していくために、財政の健全化をはかっていく、国の信任を確保する、国民を豊かにしていくことですから、逆行するようであれば、当然止めるのは当たり前なんだろうと、前回もそういう判断をした」
--憲法改正は悲願か
首相「イエス」
--来年は衆参ダブル選挙の可能性はあるか
首相「解散は全く考えていない」
--衆院解散を全く考えてないというのは、(首相は)嘘ついてもいい(といわれている)
首相「全く考えていない」
--橋下徹大阪市長は近い将来、国政進出すると思うか
首相「可能性はあるんじゃないでしょうかね」
--大阪に来て、今晩(番組が収録された4日夜)に会うのではないかという噂がある
首相「東京に戻りますから、このあと」
--今回の総裁選で、石破茂地方創生大臣には出てほしかったか
首相「まだ、8日告示ですから、まだ、何も」
--小泉進次郎議員には将来、首相になってほしいか
首相「イエスですね。そういう資質はあると思います」
--民主党の辻元清美議員はイライラの総合商社だと思うか
首相「これは、ノーですね。非常に有意義な議論を…」
--苦手なのか
首相「どなたも、てごわいなと思っています」
--日本は、もっともっと女性を活用すべきだと思うか
首相「イエス。女性の意見が入った方が、いい結論を出せるんじゃないかと。安倍家においてもそうですけども」
--公明党とはこれからも仲良くやっていきたい。
首相「イエスですね」
--(読売テレビ番組の)「そこまで言って委員会」は、東京でも放送するべきだと思うか
首相「関西でなければみれないというのはブランドなんですかね。東京でもみてみたいという人は多いですよ」
--関東地方で放送されていない番組に出ても大して(影響はない)と、ちょっと思わないか
首相「私の地元は山口県ですから、影響力は大きい」
--拉致問題は自分の政権で解決したいか
首相「イエス。大変難しいですけど、何とか解決したいと思っています」
--英語には自信があるか
首相「ノー。ノーの発音でわかったかもしれませんが」
--米議会での演説、米国民の琴線に触れた
首相「:ありがとうございます」
--日本は、アメリカのポチではないと思うか
首相「イエス」
--米軍普天間飛行場の移設先は、辺野古以外にないか
首相「工事を1カ月間中断しながら、(沖縄県との)交渉を誠実しているが、危険な状況にある普天間を固定化してはならないということ。それと、普天間に移設するというのは、そのまま機能を全部持っていくのではない。意外と知られていない。普天間飛行場は3つの大きな機能がある。オスプレイ、緊急時の飛行機の受け入れ、空中給油。空中給油は全部山口県の岩国に移っている。緊急時の飛行機の受け入れ、これは、本土でいけた。残っているのはオスプレイだけ。普天間では、各戸に対する防音の設備をしなければならない。対象は約1万軒。それが辺野古に移ればゼロになる。民家から遠く離れている。そういう意味においては、面積も3分の1になる。負担の減少は間違いない。ただ残念ながら、まだ了解を得るということには、なっていないので、われわれも誠実によく説明していきたい」
--自分はお国のために死ねると思うか
首相「こういうことを、簡単に口にすると、果たして本当かと。でも、われわれは政治家になった以上、とにかく国のために自分の人生をささげるという気持ちで仕事をしている」
--やっぱりこの番組(の質問)はきついか
首相「きつい質問ありましたね」
--辻元議員に関する質問で、さきほどの答えは嫌みではないか
首相「まだ、国会中ですから」
--「あほなこと聞きやがって、このカス」と思うことはあるか
首相「ないです。こういう見方があるんだと」
--つぶやきの声が大きくて、ヤジだといわれていることについて
首相「反省してます。(口元を示しながら)ここの言葉が、思わず言葉に(笑)」
【拉致問題】
--拉致問題は(北朝鮮が再調査を約束してから)1年がたっても進展していないことについて
首相「基本形は、北朝鮮側に、この問題を解決しなければ、北朝鮮の未来を描くことができないと思わせることが大切ですから。制裁をかけつつ、圧力をかけるけども、話し合いをしなければ、解決をしませんから。今は進んではいないが、話し合いの糸口はつかんでおり、これを離すべきではないと思っているので、誠実な対応をこれからも強く求めていきたい」
--飯島(勲・内閣官房参与)さんがモンゴルを訪問し、誰かと会ったかとか聞こえてきているが
首相「今の段階では、はっきりとした動きはありませんが、何とか安倍政権の間に完全解決したい」
--沖縄県の翁長雄志知事が普天間移設に反対の立場だ。政府は前に進める覚悟はあるか
首相「今、工事は中断しているが、今の普天間飛行場の危機を除去するための移転先は、辺野古以外は残念ながら、ないというのがわれわれの結論だ。しかし、その上で、沖縄の工事を中断している期間を利用して、お互いに冷静に議論をしたいなと思っている。同時に米軍基地の関係については、嘉手納以南の例えば、西普天間住宅地は返還されましたから、大きな返還は行われている。そういうことも含めて十分な説明が足りないかなと。そういう思いもある」
--中国は繰り返し沖縄を“取り返す”といっている。機関誌で。そういうことを正直に沖縄県民に言って、説得してはどうか
首相「民主党政権でも、最低でも県外と言って、選挙して、やっぱり辺野古しかないという結論になった。それで、鳩山(由紀夫元首相)さんも在沖米軍の存在、抑止力というのは大切なんだなと学んだとおっしゃった。本当はもっとはやく学んでいただきたかった。しかし、沖縄の基地負担が過重であるというのは事実であり、この現状を変えたいと思っている。ただ、普天間飛行場の移設をしなければいけない、その移設先については、辺野古しかないというのがわれわれの結論だ。沖縄の要望にどのようなかたちでこたえられるかということについても、考えなければいけない。しっかり説明をしていきたい」
--維新の党の(分裂の)動きは耳に入っていたのか
首相「そうではなかった。ただ、党内でずいぶん考え方が違うのかなと感じていた。平和安全法制に対しての考え方が違うなという感じはありました」
--安保法制の修正協議はまとまらないようすだ。維新には採決時に出席し、反対してほしいという気持ちではないか
首相「今、まさに議論中ですから。修正も含めて、国会にまかせている」
--衆議院での採決のときのように、強行採決だと言って採決自体に望まないというのは、民主主義国家としてどうか
首相「もちろん、しっかりと議論するが、最後はどこかで多数決で決めていく。国民の公正な選挙によって選ばれた議員が、多数決で決めていかなければ、前に進めませんから。ですからどこかで、決めなければならない。その時に、賛否を明らかにすることということは国会議員の責任です」
--維新にはどんな態度をとってほしかったか
首相「維新は責任野党であるということを明確にしておられた。将来政権を担いうる政党として、国民にわかりやすく政治を行っていくと言っておられたんで、そういう役割を果していただきたいと思います」
--橋下市長も辻元氏も、高市早苗(総務相)さんも一応関西。関西人をどう思うか
首相「人によりますけどね。みなさん、個性が強い」
--マスコット「左翼(ひだり・つばさ)君」を知っているか
首相「あの翼君でしょ。(背中の)つばさのバランスがくずれていますね」(握手し、終了)